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IATF16949 規定

【IATF16949攻略】8.5.1.5:TPMの要求事項徹底解説!

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項のポイントは、設備リストの作成及び保全目標が明確にされた保全計画書の作成とその監視です。

今回の記事は、IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。


IATF16949&ISO9001認証パートナー

第8章:運用についての「要求事項リスト」
ISO・IATF 8章
※IATF16949運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF16949
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。

条項 題目 ISO9001 IATF16949
8.5
8.5.1
製造及びサービス提供 〇注記
8.5.1.1 コントロールプラン
8.5.1.2 標準作業-作業者指示書及び目視標準
8.5.1.3 作業の段取り替え検証
8.5.1.4 シャットダウン後の検証
8.5.1.5 TPM
8.5.1.6 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理
8.5.1.7 生産計画
8.5.2 識別及びトレーサビリティ 〇注記
8.5.2.1 識別及びトレーサビリティ-補足
8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
8.5.4 保存
8.5.4.1 保存-補足
8.5.5 引き渡し後の活動
8.5.5.1 サービスからの情報のフィードバック
8.5.5.2 顧客とのサービス契約
8.5.6 変更の管理
8.5.6.1 変更の管理-補足
8.5.6.1.1 工程管理の一時的変更
8.6 製品及びサービスのリリース
8.6.1 製品及びサービスのリリース-補足
8.6.2 レイアウト検査及び機能試験
8.6.3 外観品目
8.6.4 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ
8.6.5 法令・規制への適合
8.6.6 合否判定基準
8.7
8.7.1
不適合なアウトプットの管理
8.7.1.1 特別採用に対する顧客の正式許可
8.7.1.2 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス
8.7.1.3 疑わしい製品の管理
8.7.1.4 手直し製品の管理
8.7.1.5 修理製品の管理
8.7.1.6 顧客への通知
8.7.1.7 不適合製品の廃棄
8.7.2 (不適合製品関連の記録保持)

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IATF16949:8.5.1.5項のTPMの意味とは?

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項

IATF16949:8.5.1.5項のTPMとはTotal productive maintenanceの略です。つまり、総合的設備管理のこと。

企業内において、設備の保全はISO9001の中で実施していると思いますが、それよりレベルの高い要求をしているのがIATF16949です。

この要求事項の意図は、総合的設備管理を行い、設備停止時間の減少を目指し、生産性を向上させることを意図しています。

【重要】TPMシステムの構築とは?

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項のポイントは、文書化したプロセスではないのですがルールは必要なので、規定などを作成しておくといいです。本要求事項には以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文前半
組織は、文書化したTPMシステムを構築し、実施し、維持しなければならない。
そのシステムには、最低限、次の事項を含めなければならない。

システムの構築なので、ルール化とマニュアルの作成が必須です。ルールに関しては、設備・治具管理規定などを作成し対応します。

そのルールの中に書くべき内容が本要求事項になるので、一つずつ要求事項を見ていきましょう。

a)設備一覧の作成

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文a)
a)要求された量の適合製品を生産するために必要な工程設備の特定

この要求事項のポイントは、工場内の設備の定義を決定し、その設備・治具をリスト化することです。

設備や治具については、以下のように定義し規定に記載するようにしましょう。

種類 意味
設備 製品を作るための機械を、効率的・効果的に稼働させるための機械のこと。
治具 加工や組立の際に、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具のこと。

このリストを使用して、次の要求事項に基づきリストをアレンジしていきます。

b)設備・治工具の消耗品とストック数の決定

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文b)
b) a)で特定された設備に対する交換部品の入手性

a)の設備リストが完成したら、次は設備に対する消耗部品とそのストック数を決定します。それらを決めたら設備・治具リストに追加してください。

さらにその消耗部品の交換頻度を決定し、その交換頻度で確実に保全活動を行う保全計画を作成してください。

保全計画については、計画と目標の作成が必要です。詳細は、f)g)項参照。

c)保全のための資源提供

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文c)
c)機械、設備及び施設の保全のための資源の提供

この資源とは、メンテ用交換部品や外注業者それに対する費用や、メンテナンスを行う人員などが資源として該当します。

資源計画についても保全計画を立てる際にわかるように計画立てることが求められます。

d)保存方法・包装状態の明確化

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文d)
d)設備、治工具及びゲージの包装及び保存

常に正しい保管状態にあり、常に使用可能な状態を管理する必要があります。

設備・治具リストにそれらの保管ルールを定めておくことで本要求事項の対応が可能です。

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e)該当する顧客固有要求事項

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文e)
e)該当する顧客固有要求事項

顧客のSQM(仕入先品質マニュアル)の中に、顧客から指定された保全計画方法などが記載されている場合があります。

もし自社の中で対応できない内容などあれば、免除許可をもらうようにしましょう。対応可能な場合は、設備リストの中に保全要求を明確に記載するようにしましょう。

関連記事

保全計画の立案と目標が重要!

IATF16949:8.5.1.5項のTPMで設備リストともう一つ重要なのが、保全目標を決定し計画を立てること。

審査や監査で見られるポイントは、この保全計画基づき実施されているかそして、目標未達の是正処置が実施されているかがポイントです。

次に、f)からi)の要求事項について見ていきましょう。

f)保全目標を立案する

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文f)
f)文書化した保全目標、例えば、OEE(総合設備効率)、MTBF(平均故障間隔)及びMTTR(平均修理時間)、並びに予防保全の順守指標、保全目標に対するパフォーマンスは、マネジメントレビュー(ISO9001の9.3参照)へのインプットとしなければならない。

文書化した保全目標なので、目標についてはKPI指標の一つといえます。

関連要求事項

IATF16949:8.5.1.5項のTPM②
多くの企業の場合、工程設計(生産技術部など)プロセスのKPI指標にしていることが多いです。

その目標の中身として、OEE・MTBF・MTTR・予防保全(計画保全の達成度)などがあげられます。

4.4.1 タートル図

【重要】保全目標はOEE・MTBF・MTTRの内、最低1つは選ぶ

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項の対応で保全計画の達成度のみを目標に選ぶ企業が多いですが、最低でもOEE・MTBF・MTTRから一つ選ぶようにしてください。

「やっていない」とやっていない理由を説明させられますし、毎回改善の機会で指摘に繋がるので対応するようにしましょう。

OEE・MTBF・MTTRについては、以下のように解釈できます。

IATF16949:8.5.1.5項のTPM③

OEEの計算例
ある工場で、可動率(計画に対しての実可動)が80.0%、性能(設計上の製造スピードに対する実スピード)が90.0%、品質(良品率)が98.0%の場合
OEE = 80.0% x 90.0% x 98.0% = 70.6%
MTBFの計算例
ある工場の装置で、100時間稼働→故障→70時間稼働→故障→80時間稼働→故障と繰り返した場合のMTBF
MTBF=(100 + 70 + 80)/3≒83.3時間
MTTRの計算例
ある工場における機械で稼働→3時間故障(修理)→稼働→7時間故障(修理)と繰り返している場合のMTTR。
MTTR=(3 + 7)/2=5時間

8.5.1.5 TPM

g)目標が未達の場合の是正

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文g)
g)目標が未達であった場合の、保全計画及び目標、並びに是正処置に取り組む文書化した処置計画に関する定期的レビュー

この要求事項への対応は、保全計画と目標を監視した文書すなわち「保全計画表」が必須です。

計画通りできたかできなかったか、目標を達成できているのかをIATF16949の要求事項に基づいた管理を行うようにしましょう。

h)i)予防保全が可能な内容については対応

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文h)i)
h)予防保全の方法の使用
i)該当する場合には、必ず、予知保全の方法の使用

予防保全・予知保全の方法を利用します。

予防保全・予知保全の違い
予防保全
保全計画によって決められた時期にメンテナンス
予知保全
故障の予兆を検知した時にメンテナンス
※例えばXbarR管理図で監視などで検知できる場合もあり!

特に予知保全が必要なのは「金型」です。

金型はショット数などで成形品の状態がわかるので、予知保全の対応が求められます。該当する場合は必要な方法(例えばXbarR管理図)を選定し監視を行いましょう。

j)定期的オーバーホール

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項には、以下のように記載されています。

8.5.1.5の条文j)
j)定期的オーバーホール

定期オーバーホールが必要な代表例は金型です。

ショット数などから定期オーバーホール時期や金型更新月を予測し、それらを保全計画表の中で明確にしておくことが重要です。

IATF16949:8.5.1.5項のTPMはどこに記載すればいい?

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項の対応は、設備・治具管理規定などを作成し、総合的設備管理についてのルール化を行いましょう。

設備の定義やメンテ頻度の考え方などが網羅された規定を作成することが求められます。

IATF16949:8.5.1.5に関するFAQ

IATF16949のメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!

TPMの計画はどのように考えればいいですか?

TPMは計画を立てて実行することが重要であり、企業の設備数やQMS運用体制に依存します。頻度としては通常は数ヶ月から1年程度が一般的です。単純な計画の策定だけではNG!トレーニング、実際の保全活動の実施まで、段階的に進めないといけないので、結構大変です。
これらは工場施設設備管理規定などと連動させると構築しやすいので、弊社販売中のサンプル規定を参考にしていただければ幸いです。
【規定】No.7131_工場施設設備管理規定:IATF16949版

TPMシステムの構築で特に注意すべきポイントは何ですか?

重要なのは、設備リストの作成と保全目標の設定です。これに基づいて、保全計画を文書化し、実際のメンテナンス活動を継続的に監視・改善していくことが求められます。特に、OEEやMTBF、MTTRなどの指標を使用して、設備の稼働率や効率性を評価することも重要です。
これらの指標はKPI指標として管理すると効果的なので、タートル図に記載しましょう!
【帳票】No.441_タートル図

TPMと従来の保全管理の違いは何ですか?

従来の保全管理が事後対応型の保全に依存することが多いのに対し、TPMは予防保全と予知保全を重視します。これにより、設備のダウンタイムを最小限に抑え、生産性の向上を図ることができます。

IATF16949:8.5.1.5項のTPM:まとめ

IATF16949:8.5.1.5項のTPMの要求事項はいかがでしたでしょうか?

本要求事項は、保全目標と保全計画を作成することを前提とし、それらの対応はa)からj)の対応が網羅されていることが求められます。

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