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【IATF】8.5.4.1:保存-補足の要求事項徹底解説!

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項では、保存に関するリスクを分析し、不具合品が工程に投入されらないよう適切な管理・予防を行うことを意図しています。

今回の記事は、IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。


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第8章:運用についての「要求事項リスト」
ISO・IATF 8章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。

条項 題目 ISO9001 IATF
8.5
8.5.1
製造及びサービス提供 〇注記
8.5.1.1 コントロールプラン
8.5.1.2 標準作業-作業者指示書及び目視標準
8.5.1.3 作業の段取り替え検証
8.5.1.4 シャットダウン後の検証
8.5.1.5 TPM
8.5.1.6 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理
8.5.1.7 生産計画
8.5.2 識別及びトレーサビリティ 〇注記
8.5.2.1 識別及びトレーサビリティ-補足
8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
8.5.4 保存
8.5.4.1 保存-補足
8.5.5 引き渡し後の活動
8.5.5.1 サービスからの情報のフィードバック
8.5.5.2 顧客とのサービス契約
8.5.6 変更の管理
8.5.6.1 変更の管理-補足
8.5.6.1.1 工程管理の一時的変更
8.6 製品及びサービスのリリース
8.6.1 製品及びサービスのリリース-補足
8.6.2 レイアウト検査及び機能試験
8.6.3 外観品目
8.6.4 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ
8.6.5 法令・規制への適合
8.6.6 合否判定基準
8.7
8.7.1
不適合なアウトプットの管理
8.7.1.1 特別採用に対する顧客の正式許可
8.7.1.2 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス
8.7.1.3 疑わしい製品の管理
8.7.1.4 手直し製品の管理
8.7.1.5 修理製品の管理
8.7.1.6 顧客への通知
8.7.1.7 不適合製品の廃棄
8.7.2 (不適合製品関連の記録保持)

IATF:8.5.4.1項の保存-補足はISO9001より厳しい!

IATF:8.5.4.1項の保存-補足は、ISO9001より厳しい要求事項の為、対応に戸惑う企業の多いと思います。

この要求事項の意味は、「在庫」「保管」という状態は一定のリスクを含むため、きちんと適切な状態を保つことを求めています。

きちんと適切な保管を行わないと、製品に不良部品が混じってしまうことに繋がりますよね?

例えば、以下のようなことが考えられます。

保管部品の不具合例

長期在庫した部品例 不具合発生原因
金属部品 錆び
ゴム系部品 クラック
接着剤 劣化
段ボール 強度劣化
電子部品 静電気破壊・錆び

いわゆる温湿度の管理を中心とした劣化により、不具合がある在庫品がラインに投入されてしまうケースです。

さらに部品・原材料在庫のみならず、あらゆる保管に関する状態管理がIATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項では求められているので、次に詳しく解説します。

保管品の保存/識別ルールを明確にする

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項は、以下のようなことが大事です。

材料や部品・完成品・仕掛品全てにおいて、製品品質を維持し、不良品を作ることを未然に防止することを意図しています。そのためには、保管品の保管ルールを明確にしなくてはなりません

ISO9001の意図を考慮し、識別、取扱、汚染防止、包装、保管、伝送又は輸送及び保護に対して保管管理規定を作成し対応することが求められます。

ISO9001のリストにIATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項対応方法を追加して管理しましょう。

IATF:8.5.4.1項の保存-補足②

特に修理/手直し待ちや工程内滞留品(仕掛品など)も含め識別し、汚染防止から防ぐルールを作るようにしましょう。

保管品の保存ルールを明確にする

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項は、以下のようなことが大事です。

劣化を適切なタイミングで検出するために、保管品の評価をすることが求められます。例えば、劣化がすぐに発生してしまうような金属部品であれば、定期チェックを1回/月確認や、保管ルールが定められているものは、その保管期限前に劣化を検出するルールを決定しなくてはなりません。

そのルールに基づき実施した記録は必ず保持してください。

先入先出を徹底する仕組みが必要

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項は、以下のようなことが大事です。

先入れ先出し(FIFO)の意味は、先に仕入れた商品を先に出庫するといった対応です。この対応は、長期保管するリスクを低減する非常に有効といわれています。

ただし、FIFOの対応をするためには、在庫管理システムをきちんと構築しないと対応できないため、高額なシステムを導入しないまでも社内ルールの徹底が必要です。

FIFOの対応に求められる最低限の内容
①入出庫品の運搬計画
②入出庫品の数量管理
③生産数/ロット数管理
④製品/部品/仕掛品を含む「保管場所」の位置特定
⑤表示管理

旧式品は「不適合品」と同様の管理を行う

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項は、以下のようなことが大事です。

旧式品いわゆる型遅れ品は、通常使用してはいけない部品や製品です。そのため、在庫棚においておくのではなく、不適合品として取り扱うことが必要です。

保管管理規定ではなく、不適合品管理規定に本要求事項の内容を記述しておくとよいでしょう。

保存についての顧客要求は「製品監査」で確認する

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項は、以下のようなことが大事です。

顧客要求がある場合、その対応をすればOK。ただし、製品在庫に関する要求が完成品の保存の要求に該当する場合、製品監査で確認する必要があることがポイントです。

製品監査シートの中の「外観基準」「出荷前品の状態」などの確認項目で必ず確認するようにしましょう。

関連記事

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IATF:8.5.4.1に関するFAQ

よくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の具体的な対応方法とは何ですか?

IATF:8.5.4.1項の保存-補足では、製品や部品の劣化を防ぐための管理が求められています。具体的には、識別、取扱、汚染防止、包装、保管、伝送、輸送、保護に関するルールを作成し、定期的に在庫品の状態を確認する必要があります。特に温湿度管理や保管容器の適切な使用が重要です。

先入れ先出し(FIFO)の対応はどのように実施すればよいですか?

先入れ先出し(FIFO)は、先に保管した部品や製品を先に使用・出荷するための管理方法です。これにより、長期間保管された部品が劣化するリスクを低減できます。効果的なFIFO管理のためには、入出庫品の数量管理や保管場所の特定、表示管理を徹底し、システムまたは手動の管理体制を整えることが重要です。

不適合品や旧式品の管理はどのように行えばよいですか?

旧式品や不適合品は、通常の在庫品と同様に保管方法ではNG。不適合品として扱う必要があります。不適合品処理管理規程を作成し、これに基づいて取り扱うことが重要です。特に顧客からの要求事項がある場合は、製品監査などを通じて確認することが求められます。

IATF:8.5.4.1項の保存-補足:まとめ

IATF:8.5.4.1項の保存-補足③

IATF:8.5.4.1項の保存-補足の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?

本要求事項は、ISO9001:8.5.4項の強化版です。

保存に関するリスクを分析し、不具合品が工程に投入されらないようにまた、顧客に出荷されないことを要求しているので、識別、取扱、汚染防止、包装、保管、伝送又は輸送及び保護を含めた管理をしっかり行うルール化を行いましょう。

それではまた!

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掲載:2024年12月1日

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