IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項では、不適合製品が万が一にも正規工程に投入されて使用されてしまい、顧客へ出荷されることを完全に防ぐことを要求しています。
今回の記事は、IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | 〇注記 |
8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | |
8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | |
8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | |
8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | |
8.5.1.5 | TPM | 〇 | |
8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |
8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | |
8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 |
8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | |
8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 |
8.5.4 | 保存 | 〇 | 〇 |
8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | |
8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 |
8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |
8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |
8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | 〇 |
8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | |
8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |
8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | 〇 |
8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | |
8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | |
8.6.3 | 外観品目 | 〇 | |
8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | |
8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |
8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |
8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | 〇 |
8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | |
8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |
8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |
8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | |
8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
目次
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の意味
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の意味は、不適合製品が万が一にも正規工程に投入されて使用されてしまい、顧客へ出荷されることを完全に防ぐことを要求しています。
多くの企業では「不適合品置き場」などで隔離エリアが設けられていますが、これでは誰かが間違えて持ち出してしまうこともあり得ます。そのため、一時保管する場合には「鍵付きの部屋」などを準備して完全に隔離することが第一段階です。
これらのプロセスについての要求を行っているのが、IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄なので次に詳しく見ていきましょう。
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廃棄プロセスは不適合品処理規定に明記!
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項には、以下のようなことが大事です。
文書化したプロセスの要求なので、不適合品処理規定に廃棄プロセスを明記する必要があります。廃棄プロセスの構築は、下図を参考にしてみてください。
廃棄プロセスのスタートは、手直し/修理を実施しないことからはじまり、最終的に廃棄が完了するまでの流れが大事です。特に産廃業者に引き取りをお願いする場合は、一時保管があるのでその際に確実に使用できない状態を構築する必要があります。
その主張ができるのが「鍵付きの部屋(棚もOK)」などが上げられます。
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産廃業者引き渡し前にスクラップ!
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項には、以下のようなことが大事です。よく製品に「X印」などを行うメーカーさんもありますが、基本的にはだめです。できれば完全に使用できないように金槌で破壊したり、性能を完全に破壊するためにプログラムを破壊するなども手です。
よく「ペンキ入りのバケツに製品を落としてしまう」という事例があげられるのですが、これらは現実的に望ましくないですし、無駄なペンキ管理が増えるのでやめた方がいいですね(笑)。
不適合製品は顧客の許可無く使用してはいけない
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項には、以下のようなことが大事です。当たり前ですが、不適合品は通常使用できません。それを使用する時は、顧客の許可を得て使用する「特別採用」が必要です。
特別採用のルールは、過去記事を参考に構築しましょう!
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IATF:8.7.1.7に関するFAQ
よくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
不適合製品の一時保管には、誤って製品が再び正規工程に戻らないように完全に隔離する必要があります。具体的には、鍵付きの部屋や棚で保管することで、不適合品が流出するリスクを防ぐことが求められます。
産廃業者に引き渡す前に、不適合製品が完全に使用できない状態にされていることを確認することが必要です。物理的に破壊する、プログラムを無効化するなどの対策が有効です。
不適合製品を使用する場合には、必ず事前に顧客の承認が必要です。許可なく不適合品を使用することは厳禁で、特別採用のルールに従って対応しましょう。それに伴い、手直し・修理のルールを設けることが重要です。
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄:まとめ
IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
不適合品が流出しないよう対策している企業は多いと思いますが、IATF:8.7.1.7項の不適合製品の廃棄の要求事項は、その管理の徹底を要求しているのがポイントです。
確実な隔離と産廃業者引き渡し前の破壊(スクラップ)がポイントなので、不適合品処理管理規定のそのルールを明確に記載しましょう。
それではまた!
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掲載:2024年12月1日